直木三十五賞の候補作が発表になりましたが、話題になっているのは、セカイノオワリのメンバーである藤崎彩織さんのデビュー作がノミネートしたことです。
直木賞で、デビュー作がノミネートすることは珍しく、異例のことだとも言われています。
でも直木賞、芥川賞とよく言われてニュースになっていますが、実際にはその違いとかもよく分かっていないので直木三十五賞について調べてみました。
直木三十五賞とは
直木三十五賞とは、昭和10年に創設された文学賞の1つです。直木三十五という大正時代から昭和初期にかけて活躍した小説家の名前を冠しています。
直木三十五の代表作とされているは、「南国太平記」で、これを原作にして映画化された映画が複数あります。
同じく昭和10年に創設された芥川賞と同じく、日本の文学賞の双璧をなしています。
芥川賞の芥川龍之介はとても有名で知らない人はいないくらいの小説家ですが、直木三十五は、そこまで有名ではありません。
友人の菊池寛が、直木賞が作られたときに、もし本人がことことを知ったら、名前を貸してやっているので、名前代をよこせって言うと思うと発言しているそうですが、なぜ彼の名前を冠したのか不思議に思っている人が多かったようです。
兎にも角にも、それから80年余り、戦後の混乱期以外は毎年、芥川賞、直木賞の選考が行われて年数が経つほどに権威のある文学賞になりました。
もともとは、新人賞とまではいかないまでも、小説家の登竜門的な存在でしたが、近年は中堅的な作家さんが受賞することも多くなってきていました。
芥川賞と直木賞の違い
芥川賞と直木賞の違いがよくわからない方も多いと思います。
芥川龍之介の作品の多くが純文学という形式で書かれていますので、芥川賞も純文学への賞になります。
純文学とは、芸術性に重きをおいた小説のことで、娯楽性よりも芸術性が重要視されます。近年ではピースの又吉さんが「火花」で受賞されました。
対照的に直木賞は、大衆文学、大衆小説が対象で、芸術性よりも娯楽性に重きをおいた小説におくられます。
形式などはあまり気にせずに、単純に面白い作品が選ばれるということですね。
なお、どちらの賞ともに、すでに小説家としての地位が確立しているような有名作家などの作品は対象外になります。
もともとはどちらも無名あるいは新人作家の登竜門的な賞という位置づけでしたが、芥川賞は今もそのような位置づけで、新人作家が受賞することが多いです。
直木賞の場合は、次第に中堅作家の作品が多く受賞することになっていて、新人作家が受賞することは珍しくなっています。
2017年の直木賞の候補作
直木賞も芥川賞も、毎年上半期と下半期で2回選考が行われます。今回の候補作は、下半期の候補になります。
・彼方の友へ 伊吹有喜著 実業之日本社刊
・ 銀河鉄道の父 門井慶喜著 講談社刊
・火定 澤田瞳子著 PHP研究所刊
・ふたご 藤崎彩織著 文藝春秋刊
ふたごを書いたのが、セカイノオワリのキーボードなどを担当する藤崎彩織さんです。結婚して妊娠もしたことによって現在は、セカイノオワリは活動を休止していますが、人気バンドとしてヒットソングも複数あるグループです。
この小説を書くことになったきっかけは、セカイノオワリのボーカルのFUKASEさんが、藤崎さんに、「文章を書くのがうまいから小説書いてみたら」と言われたからだそうです。
そして5年もの間書いてはやり直して漸く完成した作品だそうです。
ふたごの評価
藤崎彩織さんの処女作「ふたご」ですが、すでに発売されており、すぐに重版出来したくらいの人気で売れています。
セカイノオワリのファンの方が多く買われたこともありますが、セカイノオワリのファンの方以外にも広く読まれているようで、アマゾンのレビューも高評価にする方が多くて、小説としての完成度も高いようです。
現在のところ、アマゾンの日本文学のカテゴリーでベストセラー1位になっていて、候補作になったことで更に売れているようですね。
ただ、やはりデビュー作が直木賞にノミネートされるのはなかなか異例のことなので、そのことについては、ある意味賛否両論的な評価になっているのも確かです。
さらにこの「ふたご」が文藝春秋社刊なので、直木賞の主幹が文藝春秋社ということもあり、そのあたりの関係も否定的な意見があるのも確かです。
ただ直木賞は、娯楽性を重視するということもあるので、その分の評価はそれなりにあるのも事実です。
物語としての良さはレビューにもある通りですので、一度読んでみてもいいかもしれません。
この小説は中高校生にも充分読めるので、冬休みの読書感想文に選ぶのもひとつですね。タイムリーなので、先生も評価高いと思います。
まとめ
話題になった直木賞の候補作、セカオワ藤崎彩織さんの「ふたご」について書いてみました。
処女作がまさかの直木賞にノミネートしたので、かなり話題になっていますので、いちど読んでみてもいいかもしれません。
実際に直木賞を受賞するかは他の候補作も多いのでわかりませんが、直木賞の場合は該当作品があれば、2作受賞ということもありますので、楽しみですね。
年末年始の休みに読んでみてもいいかもしれませんね。