Fukushima50(フクシマ50)を観てきました

9年前の東日本大震災によって起きた福島第一原子力発電所の事故に立ち向かった方々を描いた、「Fukushima50」を観てきました。

ノンフィクション作家の門田隆将さんの原作を映画化したもので、あの時福島原発で何があったのかを事実をもとに作られた映画です。

Fukushima50(フクシマフィフティ)とは

もともと、Fukushima50は、海外の記者たちが、福島第一原子力発電所の事故の取材をする中で名付たものです。

放射能汚染がある中で、最前線に残った50名のことを指すのですが、日本ではあまりその存在にクローズアップされることが少なかったように思います。

海外では、チェルノブイリ原発事故と同等のレベル7の事故に立ち向かったとしてかなり関心が高く報道もされていたようです。

実際にはもっと多くの方々が作業に当たっていましたが、事後発生後も残ったのが50人だったとことからFukushima50と呼ばれています。

福島第一原子力発電所の事故とは

9年前の2011年3月11日午後2時46分に、東日本大震災による地震と大津波によって、福島第一原子力発電所の1号機から4号機までが、ステーションブラックアウトという全電源喪失に陥り、メルトダウンや水素爆発などで、放射線物質を外部に放出してしまった事故のことです。

運転中であった1号機~3号機は、地震によって自動停止されました。外部からの電源も停電によって失われましたが、非常用のディーゼル発電機が動き非常用電源で問題なく核燃料を冷却できていました。

ほどなく到達した、大津波(15m以上)によってディーゼル発電機が水没し、そのほかのバックアップである予備バッテリーやポンプなどが故障や流出してしまい、全電源喪失に陥りました。

核燃料は、制御棒を投入して反応が停止した後も、崩壊熱という熱を出し続けるために、冷却水で冷やし続けないといけませんが、その冷却水を循環させるために必要な電源やポンプ機能が喪失していまって、メルトダウンまで至った事故です。

この図のように、原子炉圧力容器の中には水が満たされていないといけませんが、給水することができなかったため、水がなくなり空焚き状態になりました。

燃料棒を冷やすことが難しくなると、崩壊熱によって核燃料を薄く覆っているジルコニア合金が高温になり、ジルコニア合金と水が反応することによって、水素が発生します。

その水素が、原子炉建屋内に充満することによって、爆発を起こし放射性物質をまき散らしてしまうことが、1号~4号機までの建屋で起こりました。

空間線量と被ばく線量

この映画を観る前に、放射線量について簡単に理解しておくことがいいかもしれません。

空間線量とは、その空間に占める放射線量のことで、シーベルト毎時であらわされます。

シーベルトだと単位が大きいので、ミリシーベルト毎時かマイクロシーベルト毎時が通常ですが、映画で出てくるのは、ミリシーベルト毎時です。

1時間その空間にいると、被ばくする放射線量という意味になります。

通常日常生活で被ばくする放射線量は、1年間で2~10ミリシーベルトぐらいだといわれています。

原発作業員などが1年間に許容する放射線量は、50ミリシーベルトまで。かつ5年間で100ミリシーベルトまでとなっています。

空間線量が、1000ミリシーベルト毎時のところに6分いるだけで、100ミリシーベルトの被ばく線量になるので、大変危険です。

空間線量が100ミリシーベルトでも、6分いると、10ミリシーベルトになります。

普通自然放射線は、現在のモニタリングポストでも見ることができますが、東京の新宿では、0.036マイクロシーベルト毎時くらいです。

マイクロシーベルトは、ミリシーベルトの1000分の1の単位です。普通に過ごしていて、1時間で、0.036マイクロシーベルトの被ばく線量ということです。

1年は、約8760時間なので、0.036マイクロシーベルト毎時×8760=315.36マイクロシーベルトとなり、1年で0.31536ミリシーベルトの被ばくとなります。

モニタリングポストをみると、福島県の双葉町では、4マイクロシーベルト毎時くらいのところもありますし、ほぼ東京とかと変わらない地域もたくさんあります。

https://radioactivity.nsr.go.jp/map/ja/area.html

普通は、日常生活では、マイクロシーベルト毎時という単位で小数点第2位くらいの線量だということですね。

それが、福島第一原子力発電所の事故では、100ミリシーベルト毎時とかを平気で超えている、真っ暗な高線量の原子炉建屋内を進まなければいけなかったのですね。

見えないからこそ、怖いですし、空間線量計の数値の意味することを作業員の皆さんは理解されていたはずなので、めちゃくちゃ怖かったと思います。

映画Fukushima50の感想

ということで、観てきた映画の感想を書いていきたいと思います。ネタバレしないように、感想を書くのはむつかしいですが、なるだけネタバレ禁止で書いていきます。

あとSNSでいろいろ話題になっている、佐野史郎さん演じる首相の描かれ方については、ネタバレありなので後に書きます。

ネタバレなしの感想

原作があるので、ネタバレにそこまで気を使わなくてもいいのかもしれませんが、原作にどこまで忠実に映画が作られているのか、原作を読んでいないのでわかりませんので、ネタバレないように感想を書いてみます。

福島の原発の事故で何があったのか?これをしっかり描いているという点で興味がもともとあったのですが、日本映画にありがちな、チープ感のあるCGやセットを感じることがなかったのはすごいことだと思います。

一応、事実に基づいた物語ということで、ドキュメンタリー映画ではないとのことですが、それでもほぼ事実なわけで、大津波が襲って、ステーションブラックアウトになった原発の姿を描いた場面などは大迫力でした。

リアリティーがあるので、津波にトラウマ感あるひとは注意が必要かも。

最初から最後まで、緊迫した場面が続くので、2時間があっという間に終わりました。

そして、後半は会場からすすり泣く声が聞こえてくるほど感動的です。死を覚悟して、指揮所に残るフクシマ50の姿や自衛官の様子などは感涙ものです。

緊迫したなかで、安田成美さんや富田靖子さんなどが演じる家族や総務の方の演技もよかったです。

そしてなにより、本店や官邸と現場の板挟みで苦悩する、吉田所長を演じた渡辺謙さん、吉田所長の同級生で福島第一原発1・2号機当直長を演じる佐藤浩市さんもさすがの演技でした。

そして、3月11日から福島第一原子力発電所で起こった出来事をリアリティーをもって再現しているこの映画はまさに、あの時に何があったのかをおしえてくれるといえると思います。

名もないたくさんの作業員が、死の恐怖に立ち向かいながら、自分たちの故郷を、日本を救ってくれたのだと感動の映画でした。

ネタバレありの感想

ここからは、ネタバレもありの感想になります。

まずは、Twitterなどで話題になっているこの記事。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70707

佐野史郎さんが演じるのは、東日本大震災時の内閣総理大臣。つまり菅直人元総理大臣のことですね。

ただ、映画では菅直人総理大臣という肩書ではありません。そのことを上記の記事では、巧妙なエクスキューズだと断じているのですが。

またヒステリックに怒鳴り散らす佐野史郎さんの演技は、自分のよく知る総理大臣の姿ではないとのこと。

実際に菅直人総理大臣は、原発事故のときに免震重要棟にまで乗り込んでいるのは事実です。

こんな時に総理大臣の相手までしてる余裕はないと作業員たちに思われていても仕方がないのかと思います。

まあ、今回映画で、悪役的に描かれている登場人物はすべて実在の実名で登場はしませんのである程度映画的な脚色があったのかもしれません。

現実でも東電と首相官邸との連絡がまずく、結局それで菅首相が乗り込む原因となったり、東電本店の判断の遅さなどがあったりしました。

この部分を事実かどうかを考えるのは興ざめ的な気もしますが。

原作では、ちゃんと菅直人元総理大臣にも取材されているのでそのあたりは原作を読むといいのかもしれませんね。

今回はあくまでも、フクシマ50が主役、その中でも吉田所長と1・2号機当直長を中心とした現場の名もなき作業員が主役の映画です。

自分たちの命を顧みず、使命感で恐怖に負けそうになりながらもギリギリのところで戦っていたフクシマ50の姿を見事に描いている映画だと思います。

そして、コロナウィルスが猛威をふるう今だからこそ、危機に陥った時にどうしたらいいのかをよく教えてくれる映画だと思うので、まさに今必見の映画だと思います。

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